
最近耳にすることの増えた七田式。お子さんの習い事の一つとして検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところが評判はよく耳にするけれど、何をやっているのかよくわからない。
優秀な子もいるらしいけれど一方で胡散臭い、宗教みたいだ、なんて声も聞こえてきます。
火のないところに煙は立たないというし、何か怪しいところなのかもしれない。
そんなご不安を抱えた方に向けて、
どんな教室なのか、通うとどんな良いことがあるのか、怪しいうわさの出どころはどこなのか解説します。
1.七田式の3つの特徴
七田式は特に未就学のお子さん向けの幼児教室として人気が高いです。
他の知育教室・幼児教室と比べてどのような特徴があるのでしょうか。
1.親御さんも一緒に指導を受ける
七田式が理念として掲げるのは、子供が自分らしく生きられるように才能開花を促す”全人格教育”です。
よって、学力の向上のみならず、心をはぐくむこと、身体を健やかにはぐくむことを目指します。
そこで大切になるのが、親御さんがお家でお子さんにどう接するかということです。
お子さんが教室で指導を受ける時間は限られており、一番長く一緒に時間を過ごすのは親御さんだからです。
ゆえに、教室内ではお子さんだけでなく、親御さんもいっしょに指導を受けることになります。
ちなみに教室で教わるお子さんへの接し方は七田式子育てとよばれており、
- 短所をみない
- 過程だと受け取る
- 完璧主義で育てない
- 比較しない
- 学力中心で育てない
- そのままで100点とみる
ということを指導されます
2.右脳を鍛える
七田式では、人間の脳は右脳と左脳にわけられ、それぞれ異なる役割を果たしているとしています。
左脳は論理脳・デジタル脳などと呼ばれます。
読むこと、書くこと、話すこと、文字の認識、数理的推理、論理的思考などを担当しています。
その一方で、右脳はよくイメージ脳、感覚脳、芸術脳などと呼ばれます。
イメージの記憶、直観、ひらめきなどを司っており、全体的な情報処理を受け持っています。
学習塾などでは従来の知育教室ではじっくり論理的に考える左脳の力を鍛えるものが多かったのですが七田式は右脳に焦点を当てています。
3.フラッシュカード/ドッツカード
そして、右脳を鍛えるためにあまり見かけないめずらしい教材が使われています。
それがフラッシュカードとドッツカードです。
これらは大量のカードで、前者には絵や文字が書かれており後者には複数の点(ドット)が書かれています。
一枚一秒程度の高速のペースでお子さんに見せて使用します。
高速で絵や数が脳に送り込まれるため、左脳がついていけず右脳で処理することになります。すると脳に感覚的に数や物の概念がインプットされるのです。
特にドッツカードに関しては数字自体のインプットが終われば、数の大小や数式などもインプットしていきます。
あらゆるパターンのドットを脳にインプットすることにより、コンピュータのような計算速度を身に着けることをゴールとしています。
2.具体的なレッスンのイメージ
レッスンは一回50分程度で、たくさんのコンテンツがテンポよく進んでいきます。子供に飽きさせないようにするため、との理由からひとつひとつにかける時間は短く設定されているのです。
最初はご挨拶の歌からスタートします。今日の日付、曜日、干支にはじまり、色、形、数字、足し算、平野だ川だ、プリントやら、ドッツ、フラッシュカード、なんと古文まで、すさまじいテンポでありとあらゆる情報を与えてきます。
レッスンはご挨拶の歌と一緒に始まります。
お子さんを抱きしめる時間があり、そのあとはものすごいテンポでひたすらありとあらゆる情報をインプットしていきます。
今日の日付や曜日に干支、形、色、数、足し算引き算。平野や川に古文まで。
理解をする、考えるというよりは直観的に脳に刷り込むようなイメージです。
3.七田式の怪しいうわさ
以上のようなレッスンを行う七田式ですが、何となく世間から怪しいイメージを持たれているようです。
具体的にどんなうわさがあるのでしょうか。なぜそのような噂が立ってしまうのでしょうか。
・怪しいうわさその1:「七田式って宗教?」
”七田式の資料を取り寄せた。「息子はピアノを習っていないのにDVDを毎日観てただけで絶対音感がついて、初めて聴いた曲でもピアノでひけるようになった」という体験談を目にし、いぶかしくおもった。
怪しいなと思って調べたら、「動物や植物と波動で会話」「テレパシー」「波動で隣の教室の授業内容が分かる」などのキーワードをネット検索でみつけてオカルトっぽいと思った”
こういった声が聞こえてしまうのはなぜでしょうか。
それは、七田式が教材の狙いと効果について論理的な説明をしていないからです。
七田式では目新しい教材を多く採用しています。多くの人にとってそれらはなじみがないものであるため
- どんなねらいのある教材なのか
- 実際使うとどのような効果が得られるのか
論理的な説明なしでは理解できません。
たとえば、よく怪しい教材として槍玉にあがるのが
「七田式超感覚開発プログラム インナー・ライト」です。
公式ホームページではどんな説明がされているのか見てみましょう。
”鋭い直感を働かせてビジネスを成功させる。言葉を介さずに他人と理解し合う。先に起こるトラブルを予測して対策を講じる、自分がイメージした通りの人生を歩む…。
超感覚を自由自在にコントロールできるとしたら、それは人類にとって“幸福な進化”ともいえるほど、素晴らしいことです。しかしそのような超感覚は、これまでの科学で解明し尽くされていないために、能力開発のノウハウもありませんでした。
そのため私たちは、もともと備わった素晴らしいパワーを使わずに過ごしているのです。これでは、見事な翼があることを知らずに地面を歩いている鳥のようなもの。
自分に翼があることに気づき、羽ばたくためのトレーニングを始めれば、私たちは大きく飛び立つことができます。そして飛翔する大空から見る風景は、これまでの世界観を一変させるほどの感動を、私たちに与えてくれることでしょう。
今回、七田が開発した超感覚開発法は『インナー・ライト』。7つのプラクティスを行うことで、これまでに経験したことがない超感覚の習得を目指すことができます。
これは、これまでの科学が成しえなかった“新時代の教育”への挑戦。人間に新たな可能性の翼を与える、画期的なプログラムなのです。
この七田の試みが、次代を生きる全ての人々の幸せに役立つことを、願ってやみません。”
(参考:http://www.h-sa.jp/inner/ 公式ホームページより)
とあり、しっかりとした理解をするには難しい説明かもしれません。
このあたりが「宗教」といううわさの出どころです。
・怪しいうわさその2:「七田式は子供の発育に支障をきたす」
前者のうわさよりも深刻なのがこちらの噂です。
七田式を受講したお子さんは、発育に支障をきたし、突然奇声を発する子になったり生気を失ってしまうとのう声がありました。
・「2歳の長女です。幼児教室に通うようになると、夜な夜なギャー、ギャーと近所中に響きわたるような奇声を上げるようになった。何ごとにもひどく攻撃的になった。夜は、悲鳴のような大声で泣く。近所の人は、子どもを虐待していると思って、たびたび警察に通報した。警察が訪ねてくるようになった。幼児教室を退会したら日に日に落ちついてきた」(30代女性)
・子どもが七田式を続けていました。極度の怖がりです。病的とまでは言いませんが、普通ではないです。(30歳女性)
・大量のカードをフラッシュして見せることで右脳が活性化するという教育方針だった
でも、3歳を迎える頃からうちの子どもはカベに向かって一人で独り言を言うようになった。その独り言は、フラッシュカードで読み聞かせられた言葉ばかりです。
子どもは、何を見ても焦点が合わなくなった。目に生気がなくなった。全く笑わなくなった(30代女性)
なぜこのような噂が立つのでしょう。理由は二つかんがえられます。
1.じっくり考えたい子にはあわない
七田式では、1回50分という限られた時間の中に右脳を鍛えるカリキュラムと左脳を鍛えるカリキュラムを詰め込んでいます。必然的に一つ一つのカリキュラムにさかれる時間は少なくなります。
また、右脳を鍛えるセッションはとくに、じっくりと考えて答えを出すよりもひらめきで瞬時に答えを出すことが求められる内容となっています。
よってじっくりと考えて答えを出したい子にとっては、せかされるようなプレッシャーを感じてしまいますし、最後まで自分の力で考え抜いたという達成感も感じにくいのです。
自ら思考する姿勢が奪われてしまうのも、こなせすべきカリキュラムの多さや、瞬時に答えを求められる点に起因しています。
2.フラッシュカードやドッツカードが脳へ悪影響をきたしている。
因果関係の有無まではまだ明らかになっていませんが、「フラッシュカードやドッツカードは子供の脳の発育に悪影響を与える」という仮説の元進んでいる研究もあります。
またこれもあくまで仮説段階ではありますが、フラッシュカードやドッツカードを大量に見させられるうちに子供の思考力や自主性が奪われてしまうのではないかともいわれています。
子供の習い事は「くもん」や「RISU算数」もあわせて考えてみよう
七田式が合う子もいれば、合わない子もいます。ですから体験入学やお試し教材を取り寄せて、他の習い事もあわせて考えてみるのがよいでしょう。
くもんは近くの教室に問い合わせることができますし、RISU算数はくもんのタブレット版のような教材で、先取り学習ができる教材で、最近では四谷大塚の小3の模試で全国一位の子もRISU算数を使っておりました。詳しくは下記のホームページをご覧ください。
4.まとめ
七田式は、全人格教育など、教育に対して新しい立場をとり、ユニークな教育方法を実践して注目を集めています。
ところがその教育のねらいや効果の説明が不十分であることや、リスクへの対処法がわからないままであることから、怪しいうわさは絶えません。
目新しくはなくとも、きちんと効果が実証され、リスクの少ない教育方法はあります。お子さんに合うものをきちんと考えて選んであげましょう。