
幼児・小学生の算数教育といえば名前が挙がることの多いくもん。
そのくもんから最近おうちでできるドリルが売られています。
送り迎えをしなくて済む分、楽なのでしょうか?
先生がいない分安いのでしょうか?
教材をお家で解くお勉強スタイルのメリット・デメリットについて紹介します。
1.くもんの教材の特徴
何よりもまず【計算力】
算数には様々な能力が必要とされます。
- 問われていることを読み取る 文章力
- 筋道立てて考える 論理的思考力
- 図形を見た時の ひらめき
- 与えられたことを正確にこなす 計算力
などです。
このうちくもんは、計算力に特化しているのが特徴です。
「バランスよく様々な力を伸ばしたい」、「思考力など他分野に通じる力をつけたい」という方には不向きですが、計算の正確さを重視する方には好まれます。
目的は【定着させる】こと
ドリルなどの教材は二種類に分けられます。
1つは、苦手を発見するための教材です。
その分野やその学年で習う範囲のものを一通りとくと、間違いやすいところがでてきます。
解いていく中で自分が苦手な分野がどこであるのかを可視化し、今後の勉強の方針を立てることに役立てるために用います。
2つ目は、苦手を克服するための教材です。
くもんはこちらに分類されます。
苦手な分野が可視化されたら、今度はその克服のために演習をこなしていくことが必要になります。
くもんはしつこいくらいの演習量を誇る教材です。
大量の問題を解く中で苦手を克服し、学んだことを定着させることができます。
その子に合わせたスピードですすむ
くもん式の教室では、カリキュラムを進める速度は決まっていません。
お子さんが自分のペースで自分のレベルにあった問題を解き進めていくことになります。
自分のレベルにあった問題を解くと勉強嫌いを防げるのです。
たとえば問題が難しすぎるとどうでしょう。
全く歯が立たない問題を解くのは苦痛ですし、自分は勉強ができないのだと思い込み自信を失ってしまうかもしれません。
逆に問題が易しすぎるとどうでしょう。
単純な作業をこなす感覚になり、やはり勉強はつまらないと感じてしまいます。
勉強嫌いを防ぐために、レベルやスピードがその子にぴったり合っていることは大切なのです。
2.教室とは何が違うの?お家で解くことのメリット
上記のような特徴を持つくもんですが、最近ではお家で解けるドリルが発売されています。
お教室で解く際に比べてどのような違いがあるのでしょうか。
くもんのメソッドを安価に
ノウハウをもとにつくられたプリントをひとりで、たくさん解くことで、苦手を定着させていくのがくもんのスタイルです。
ですから先生の指導がなくても、プリントさえ手に入れば教室で学べることと同じことが学べることになります。
市販のプリントであれば教室に通うよりも安い値段で、くもんで習うことを勉強できます。
送り迎えの手間がない
良い問題を大量に解き続けることにくもんの価値があります。
ですから場所が教室でもお家でも、学べる内容に差はありません。
プリントであればお家でできるため、送り迎えする手間が省けます。
3.教室とは何が違うの?お家で解くことのデメリット
強制力がない
先述した通りくもんは、苦手の「発見」ではなく「定着」を目指す教材です。
よって教材の真価が発揮されるには、ある程度継続して取り組まなくてはいけません。
いくら問題がよくできていても、継続して取り組めなければ意味がないのです。
そして継続して大量の問題をこなすためにはある程度の強制力が必要になります。
くもんの教室であれば、宿題という形で強制力を加えることができます。
次のレッスンまでに何とか終わらせなくてはいけない、というほど良い緊張があるため、定着に必要な量をこなすことができるのです。
ところがお家での学習となると強制力がありません。
必要な演習量をこなしきれず、定着する前に勉強を放り出してしまうこともあり得ます。
モチベーションを維持できない
教材に強制力がなくても、モチベーションを維持できるのであれば問題はありません。
ところが、くもんをお家で解くとモチベーションの維持も難しくなるのです。
くもんの教室では毎年頑張った子に対して表彰する制度を設けています。
これによってどれだけ頑張ったか、どれだけ進歩したかが可視化されます。
どれだけ成果が上がっているものを淡々と続けていくのはつらいことですが、表彰制度によって子供が成果を実感できるのです。
また「頑張ったらその分報われる経験」をすることで達成感を得ることもできます。
お家で解くと、自分の進歩も見えにくく達成感を得る機会もなかなか得られません。
目の前にあるものをこなし続けることになり、勉強に対して苦痛を感じてしまいます。
4.与えるべき教材は本当にくもんなのか?
ここまで、くもんのプリントのメリットとデメリットを、教室と比較して述べました。
しかし、そもそも本当にくもんがお子さんにあっているのかどうかもきちんと考えることが必要です。
良い面だけでなく悪い面もしっかり考慮していただくために、くもんの限界について2点紹介します。
計算力しか伸ばせない
くもんはたくさんの演習を積むことで計算力を伸ばすことのできる教材です。
しかし前述したとおり、算数に必要な力は計算力だけではありません。
さらに言えば、近年の大学入試では計算力よりも上の3つの力がより重視される傾向にあります。
背景には人工知能の台頭などがあります。
実際に出題形式が大幅に改定されています。
もしお子さんの元々の強みが計算力ではなく、他にあるとしたらどうでしょう。
くもんに通って計算ばかりしているうちに、自分が元々持っている才能を発揮できずに自信を失ってしまうかもしれません。
今後必要になる力を伸ばしてあげられないかもしれません。
達成感を得られず勉強が嫌いになる
くもんは計算問題に特化していることは前述した通りですが、この弊害は他にもあります。
計算問題では問題を解いた時に達成感を得るのが難しいのです。
計算は単純な作業の繰り返しになってしまいがちです。
しかし、達成感が得られるのは自分の頭で考えて答えを導き出せたときです。
達成感が得られない単純作業では勉強が楽しいと思えず、いつの間にか勉強嫌いになってしまいます。
5.まとめ
従来は教室で有名だったくもんですが、最近では自宅で解けるプリント教材も販売されています。
教室・自宅学習の違いに関わらず、そもそもくもんがお子さんにあっているかどうかも考える必要があります。
有名な教材ですが至らない点もあります。
計算力を重視するあまり、他の力を育てられない、勉強を詰まらないと感じてしまう、などの可能性があります。
しっかりと比較検討し、お子さんに合う教材を選んであげましょう。