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七田式の幼児コースは弊害あり?

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最近耳にすることの多い七田式についてまとめます。
人気の幼児コースですが、弊害があると噂されています。
どんな弊害が起こり得るのでしょうか?調べてみました。

1.七田式とは?

0歳から小学生まで幅広い年齢層のお子さんを対象にした教育方法です。
創業者の七田眞さんの名前から七田式と名付けられました。

幅広い年齢層を対象とする中でも特に未就学のお子さん向けの幼児教育方法として人気があります。

受講の形態としては教室に通うタイプのものと、通信教材をお家でこなすタイプのものがあります。
教室で受講する場合コースは8種類あります。

  • 幼児コース
  • 幼児英語コース
  • 小学生コース
  • 小学生英語コース
  • 音楽コース
  • 胎教コース
  • 赤ちゃんコース
  • 特別支援コース

です。

このうち人気の幼児コースは一回あたり50分で、親後さんと一緒に受講することになります

2.七田式の2つの方針

1.親御さんも子供に付き添い、指導を受ける

他の塾や教室であれば、ほとんどの場合お子さんがひとりでレッスンを受けます。
親御さんは送り迎えのみをしてあげるか、付き添ってもすこし離れてお子さんを見守ることが多いです。

一方七田式の場合はカリキュラム中ずっと親御さんがお子さんに付き添ってあげます
その中で、親御さんもお子さんへの接し方について学んでいくことになります。

なぜこのような形式をとっているのでしょうか。
七田式は「全人格教育」を理念として掲げているからです。
学力向上のみならず、心をはぐくむことや、身体を健やかに育むことを目標として掲げています
そこで、教室で先生が教えることだけでなく、お家で親御さんがどのようにお子さんに接するかが大切なことになってくるのです。

ちなみに教室に通う中で親御さんは

1.子どもの短所を見ない
2.子どもの成長を途中の過程と見る
3.完全主義で育てない
4.比較しない
5.学力中心で育てない
6.そのままを100点と見る・右脳教育

ということを心構えとして指導されます。

2.右脳を育てる教育

人間の脳は左脳と右脳に分けられます。

左脳は論理脳・デジタル脳などと呼ばれます。
読むこと、書くこと、話すこと、文字の認識、数理的推理、論理的思考などを担当しています。

その一方で右脳はよくイメージ脳、感覚脳、芸術脳などと呼ばれます。
イメージの記憶、直観、ひらめきなどを司っており、全体的な情報処理を受け持っています。

学習塾などでは左脳に焦点が当たることが多い一方、七田式では後者の右脳にも焦点を当てて直観やひらめきなどをはぐくむ点に特徴があります。

3.七田式に特徴的なカリキュラム

七田式の教室では、他の塾や幼児教室ではあまり見受けられないようなユニークな教育方法を取り入れています。
そのうち二つを紹介します。

1.フラッシュカード

フラッシュカードとは、絵や文字や数字などが描かれた沢山のカードを短時間のうちの早いスピードで見せることで右脳を刺激し、感覚的に覚えさせようとする教材です。
1枚1秒程度でどんどんめくってしまうため左脳はついていけず、視覚的に情報が脳に送り込まれます。

七田式では、「右脳の活性化」、「語彙力・理解力・表現力をつける」、「見たものをぱっと一瞬で記憶する」、「左右の脳をつなぐ連結回路を育てる」ということを目的として取り入れられているようです。

2.ドッツカード

白地に赤丸が描かれたカードを、短時間のうちに早いスピードで子供たちに見せてあげます。
感覚的に数の概念を理解することにつながるもので、足し算や引き算、かけ算、わり算はもちろんのこと、幾何や代数など複雑な数学の素地を育てることにつながります。

4.七田式の弊害

七田式を受講したお子さんの中には七田式が合わずに発育に支障をきたしてしまう子もいるようです。

子どもが七田式を続けていました。極度の怖がりです。病的とまでは言いませんが、普通ではないです。(30歳女性)

小学校入学前に七田式に通っていたのですが、奇声を発したり、ずっと集中して机に向かえないようになってしまいました。(40代女性)

などの声が見受けられました。

他にも

  • 突然、奇声を発するようになった
  • 生気が見られず、元気がなくなった
  • 子どもの自主性が育たない
  • 子どもの思考力が育たない

などの声が聞かれます。
これらの弊害が起きるのはなぜでしょうか。

5.七田式の弊害はなぜ起きるのか

七田式の弊害の原因として、考えうるものを3つ紹介します。

1.ほかのやるべきこと・やりたいことが抑圧されてしまう

これは七田式に限らず他の早期教育全般についてもあてはまることです。
1日24時間という限られた時間の中で幼児教育を実施するとなると、必然的に他のことに使える時間が少なくなります。

そこで遊ぶ時間や親子間でコミュニケーションをとる時間が減ってしまいます。
すると遊びからはぐくまれる情緒的な発達が阻害される、親御さんからの愛情を子どもが十分感じられない、などの事態につながります。

また、子供に他にやりたいことがある場合、本当にやりたいことができずストレスを感じてしまうでしょう。
例えば運動や芸術を好む子・得意とする子に算数を無理やりやらせるとどうでしょう。
自分のやりたいことができないストレスや、得意な分野で才能を発揮できないつらさを感じてしまうことになります。

時間的制約によりはぐくむべきものがはぐくめない、ストレスやつらさを感じてしまうということが、奇声や元気のなさの原因になり得ています。

2.じっくりと考えたい子には合わない

七田式では、1回50分という限られた時間の中に右脳を鍛えるカリキュラムと左脳を鍛えるカリキュラムを詰め込んでいます
必然的に一つ一つのカリキュラムにさかれる時間は少なくなります。

また、右脳を鍛えるセッションはとくに、じっくりと考えて答えを出すよりもひらめきで瞬時に答えを出すことが求められる内容となっています。

よってじっくりと考えて答えを出したい子にとってはせかされるようなプレッシャーを感じてしまいますし、最後まで自分の力で考え抜いたという達成感も感じにくいのです。

自ら思考する姿勢が奪われてしまうのも、こなせすべきカリキュラムの多さや、瞬時に答えを求められる点に起因しています。

3.フラッシュカードやドッツカードの悪影響

因果関係の有無まではまだ明らかになっていませんが、「フラッシュカードやドッツカードは子供の脳の発育に悪影響を与える」という仮説の元進んでいる研究もあります。

またこれもあくまで仮説段階ではありますが、フラッシュカードやドッツカードを大量に見させられるうちに子供の思考力や自主性が奪われてしまうのではないかともいわれています。

6.まとめ

七田式は親子のかかわり方を含めた指導で子供の全人格的な成長を促す、右脳の力を鍛える、という点に特徴がある教育方法です。
一方で、子供が奇声を発する、生気がなくなる、自主性や思考力が奪われるなどの弊害も聞こえてきます。

背景にあると考えられるものは、過度の幼児教育による他の経験の抑圧や、じっくりと考えたい子へのプレッシャー、フラッシュカード・ドッツカードからの悪影響の可能性などです。
弊害を考慮し、お子様に合うかどうかを検討したうえで適した教材を選んであげましょう。

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